片口いわし の 話

みちよ

2008年06月12日 17:13

“片口いわし“は、出世魚のように その成長の過程で名前を変えていく魚です。








*生まれたばかりは・・「ちりめん

*頭が大きくなり少し色が変わると・・「かちり

*少し大きくなって、うろこがあらわれると・・「かえり

*3cmほどになると・・「たつくり

*4,5cmで・・ 「にぼし

*それより大きくなると・・「かたくち


ここまで成長するのに、約 1年かかります。



さぁ、この中で 一種類だけ 製造工程の違う イワシ がいます。

分かりますか?


そう、

『たつくり』です。








煮干 (その名の通り、煮てから干したもの) と違い、

「たつくり」は、生の魚を干してあります。

ですから、他のイワシに比べると 食べた時に苦味を感じます。

それでも、まだ 腹ワタが小さいので、苦味、生臭さも少なく、

脂肪分も少なく 酸化しにくいので このような作り方ができるのです。


その 「たつくり」 という呼び名ですが、


 江戸時代、米作りをする農村では鰯などの小魚を干したものを肥料にしていました。

 鰯は、豊かな田を作るための大切な魚だったので、「田作り」と呼ばれるようになったのだそうです。


他の煮干に比べて、煮ていない分だけ 「たつくり」 の栄養価は高いのでしょうね。



片口いわしの名前が沢山あるということは、

成長過程を追いながら、それだけ食べ分けてきた 私たち日本人の食文化の現れ。

”島国らしさ” も さることながら、

先人たちの おしゃれ心のようで、素敵だと思いませんか?




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